ストーリーodekakeができるまで
機能性を優先するあまり、リハビリウェアは日常とは違う場所で身につける
“特殊な服”になってしまっているのではないだろうか——。
日々患者さんと接する医療・福祉従事者だからこそ感じたその小さな違和感を、異分野の知見を掛け合わせて解決しようと作られた「新しいリハビリウェア odekake」。
連携したのは、患者さん・病院・医療従事者・インクルーシブファッションを扱うスタートアップ。非日常の空間になってしまいがちな病院と、いつもの暮らしや日常を繋げていくために、2021年、病院や施設のデジタルトランスフォーメーション推進や新規事業に携わるSDX研究所が中心となって、このような新しい連携プロジェクトを発足しました。
これまでのリハビリウェアや入院衣は、機能性を優先するあまり「病院でしか着られない」「誰かに会いたいと思えない」服になってしまうことがほとんどでした。
しかし、本来の「リハビリテーション」は、ただ機能訓練を経て身体機能を回復するということではなく、日常生活や社会の中での営みをとりもどし、その人らしい人生を紡ぎ直していくという意味を含む言葉です。
だからこそ、リハビリで身に着ける衣類や、回復期に身に着ける衣類は、その先に続く日常となめらかに繋がっているものであるべきではないのかと、私たちは考えました。
海外では、実際にファッションによる患者さんの行動変容が研究データとしても発表されており、ズボンの大腿部を全てファスナーに変えることでトイレの脱ぎ履きの動作が35秒程度から19秒程度に改善されることや、上着のボタンを全てマジックテープ等に変えることで介護者側の精神的・肉体的負担が軽減するといったデータも発表されています。
病院でも、回復の途中でも、日常でも。
どんな人にも、「明日何を着ようかな」と考える、明日を待つわくわくを取り戻したい。
長年リハビリテーションに従事してきた私たちが掲げる「あきらめない医療」の思想をベースに、医療 × ファッションによる新たなリハビリウェアを生み出しました。